8.抗菌活性を有する薬剤の標的たんぱく質の固定方法 抗菌薬の開発において、候補となる化合物の菌の標的を決めることは重要である。一般に細菌に固有のタンパク質を標的とする抗菌薬の副作用は小さいと考えられている。ペプチドグリカン合成にあずかる酵素を標的とするペニシリンの場合が良い例である。逆に、ヒトにも相同タンパク質が存在する場合には、選択毒性を確保することが困難である場合が多い。また、標的を決めることができれば、その抗菌薬の作用機序を理解することが容易となり、開発における有用な情報となる。しかしながら、抗菌薬の標的を決めることは容易でないとされており、既存の抗菌薬の誘導体以外の新規抗菌薬については、標的を決めないで開発が検討される場合が殆どである。最近弊社では、この問題を解決する画期的な方法を確立することに成功した(特願2011-124011)。この方法は、遺伝学並びに生化学のふたつの方法論を応用したものであり、抗菌薬の種類によらず、短期間のうちに標的を決めることを可能にする。実際に弊社では、弊社が新規抗生物質として発見したカイコシンについてこの方法を応用し、その標的を決定することに成功している(未発表データ)。標的が不明な抗菌薬を保有されている場合には、是非弊社に相談されることをお勧めしたい。 2012年9月11日
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