私たちが大学での研究成果を事業化することを目的とした株式会社ゲノム創薬研究所を設立してから、早くも10年間が経過しました。
当初私たちは、黄色ブドウ球菌における抗菌薬のターゲットタンパク質を同定し、ゲノム創薬の考え方に基づいた創薬を展開しようと試みました。
製薬企業との共同研究により、黄色ブドウ球菌の増殖に必須なタンパク質をコードする遺伝子を100以上同定することに成功しました。
その後私たちは、カイコの感染症モデルを用いて、治療効果を指標とした抗生物質の探索方法を確立しました。最近私たちは、この方法を用いて、私たちが「カイコシン」と命名した、治療効果のある新規抗生物質を発見するに至りました。
これからも私たちは、抗菌薬を中心とした創薬に関して新しい方法論を見いだす努力をしてゆく所存です。今後このコーナーでは、私が日頃考えている新しい創薬の考え方について、紹介させていただきたいと思います。
(株)ゲノム創薬研究所 顧問 関水和久
|