お知らせ

開発研究技術の紹介


新薬開発のためにカイコ幼虫を実験動物として利用する技術
(本技術は朝日新聞2008年4月21日朝刊に取り上げられました)

記事本文

脱シルク殻を破る蚕

「日本が誇る貴重な生物資源を絶やすな」
  ― 研究者らがめざすのは、有望な実験動物としてのカイコ ―

東京大薬学系研究科の関水和久教授は、カイコ幼虫に腸内注射をする方法と体液に注射する方法を説明し、「こんな使い分けが、ショウジョウバエでできますか?」と言う。ショウジョウバエは昆虫では最も代表的な実験動物だが、体長3ミリと小さすぎて、注射そのものが困難だ。その点、カイコ幼虫は同じ昆虫であるが、ほどよい大きさで、注射は勿論のこと解剖も可能である。
実験動物としてのカイコ幼虫の特長はいろいろある。


  1. 低コスト(マウスの100分の1程度)
  2. 動作が鈍くて扱いが容易
  3. 逃げない(閉鎖系での実験が可能)
  4. 成人病を含めた人の病気のモデル動物となる
  5. 動物愛護の観点からの倫理的抵抗感が小さい

関水教授はカイコ幼虫を利用した新薬開発などをめざし、2000年にベンチャー企業を設立している。