近年、多くの哺乳動物を実験に使用することは、飼育や管理に多大なコストがかかるだけでなく、動物愛護の観点から倫理的な問題が指摘されるようになっています。
そこで、私たちは創薬研究や感染症治療の分野において、哺乳動物に代わるモデル生物としてカイコ(蚕)を採用しています。
カイコは飼育が容易で短期間で結果が得られる上、免疫応答や感染メカニズムが哺乳動物と類似しているため、効果的なテスターとして活用できます。
カイコは家畜化されており、自力で飛翔する能力を持たないため、飼育環境から逃げ出す心配がありません。
また、自然界で生存・繁殖することができないため、生態系への影響や生物災害を引き起こすリスクが極めて低いとされています。
カイコは動きが少なく、大きさも扱いやすいため、注射がしやすい生物です。
さらに、針を刺す深さによって血液と腸管を簡単に区別できます。
浅く刺すと血管内に赤インクが入り、カイコの体が赤く染まることで血液への注射が確認できます。
また、カイコは開放血管系を持つため、血液への注射が容易です。一方で、腸管への注射(腸管注射)は、経口で効果を発揮する物質の探索に適しています。
検体を餌に混ぜることで、より自然に近い投与方法で試験を行うことも可能です。
わたしたちはカイコをテスターとして採用し、様々な病態モデルの確立を行っています。
創薬の研究や感染症治療の新たな道筋として、最適なご提案をさせていただきます。